サローネ・デル・グスト&テッラ・マードレ2012 速報!!

投稿日 2012年10月25日

イタリア・トリノ市で、10月24日午後7時から、サローネ・デル・グスト&テッラ・マードレ2012の開会式が行われました。会場は、日本の建築家・磯崎新が2006年の冬季オリンピックのために設計した屋内競技場。世界約150ヵ国のメンバーやトリノ市民など約7,000人が集まりました。

1996年から2年に一回開かれてきたサローネ・デル・グスト(味覚の集まり)は、今年で9回目を迎えるヨーロッパ最大の“食”のイベントです。そのサローネ・デル・グストに2004年から加わったのが、世界中の生産者・調理人などが集まる“食”に関する国際会議テッラ・マードレ(母なる大地)。スローフードインターナショナルが開くこの催しは、いまやトリノ市やピエモンテ州をあげての行事になっています。

このサローネ・デル・グスト&テッラ・マードレの開会式で、スローフード福島のリーダー・須藤陽子さんがスピーチを行いました。スピーチは「大地」「種」「水」「生物多様性」など6つのキーワードをテーマに各国の代表が行い、「エネルギー」というキーワードで須藤さんが訴えたのは、原発災害に被災した福島県の現状と脱原発です。水を打ったような会場からはときおり静かな拍手が起こり、参加者は福島からの生の声に耳を傾けました。このスピーチは、スローフードジャパンからの提案ではなく、今年3月来日したスローフードインターナショナルのパオロ・クローチェ事務局長に、日本のメンバーの一人が被災した須藤さんのトリノへの招待を個人的に求め、実現したのでした。

福島市内で有機農業をしていた須藤さんは、去年の原発災害によりそれまでの農業を断念せざるをえませんでした。一年間悩んだ末、須藤さんが選んだのは、地元福島で農業を続けることです。須藤さんは、今年の春、市内西部の比較的放射能汚染が低い地域に農地を借り、大豆を作っています。

 

開会式は、各国代表のスピーチや、ゲストのFAO(国連食糧農業機関)の代表のスピーチのほか、1997年にノーベル文学賞を受賞した劇作家ダリオ・フォーによる一人芝居、音楽家ロイ・パーチェがこの日のために結成したバンド「テッラ・マードレ・オーケストラ」による演奏など、同時通訳を聞けなくても楽しめる工夫もありました。

2年に一回開かれるこのイベントは、スローフード運動の国際性とネットワークを象徴する行事です。最後に挨拶に立ったペトリーニ会長は、スローフードは食に関わるきわめて本質的かつ“政治的”な運動だと断言しました。ペトリーニ会長が言う“政治”性をどう実現してゆくのか、日本のスローフード運動は問われています。サローネ・デル・グスト&テッラ・マードレ2012のテーマは、『“食”の権利』です。